標準的なエンド・オブ・ライン(EOL)試験システムは、ベアリングの異常など明らかな不具合の検出には有効です。しかし、組立時のわずかなズレやギアの歯の損傷・破損などによって生じる微細かつ稀な音響異常は、見逃されることが少なくありません。特に電動モーターは、磁場強度のばらつき、コギングトルクの増加、トルクリップル、インバーター由来のノイズなどに起因する性能のばらつきに対して脆弱です。
さらに、ギアのラトル音やうなり音といった音質の問題は、試験対象ユニットの機能に直接影響を及ぼすわけではありませんが、ユーザー体験やブランドイメージに大きな影響を与える可能性があります。これらの音響特性を幅広い試験ユニットにわたって継続的に監視することは不可欠です。各ユニットの音響プロファイルの変化は、生産品質の長期的な傾向や安定性に関する貴重な知見をもたらします。
見逃されがちな音響異常の検知
標準検査では捉えきれない微細な不具合を検出します。
ノイズ品質の影響評価
ユーザー体験やブランドイメージに影響を与える、ギアのラトル音などの微細なノイズを検出・評価します。
長期的な音響モニタリングの実現
複数の試験にわたって音響プロファイルを追跡し、生産品質の傾向や新たなパターンを評価します。
AVL AQCを導入することで、生産ライン最終工程におけるNVH試験は従来のチェックを超え、より広範な騒音・振動・不快感の問題を捉えることが可能になります。まれな音響異常でさえも検出・記録することで、部品品質に対する理解が一層深まります。NVHデータを多く収集すればするほど、予測の精度が高まり、潜在的な問題への早期対応が可能になります。長期的には、精度の高い一貫したNVH測定こそが、コストのかかるリコールの削減やブランド価値の保護に最も効果的な戦略のひとつです。
本システムの主なコンポーネント
- 試験システムの自動化(PUMA 2 または他社製システム)
- センサー位置決めシステム(例:ロボットアーム)
- 各種センサー(例:マイクロフォン、レーザ振動計、汎用振動センサー)
- データ収集機器:AVL X-Meter および AVL IndiCom™
- 後処理ソフトウェア:AVL CONCERTO
| 用途 | 大量生産に対応した設計 |
| e-アクスルの取り扱い | 手動または(半)自動 |
| タクトタイム | 通常 2~5 分 |
| 自動化 | AVL PUMA 2™ Productionによる自動化 |
| データ取得 | AVL IndiCom™による計測データの取得 |
| 後処理 | AVL CONCERTO™ (NVHツールボックスおよび統計ツールを含む)による解析 |
| 測定変数 | 試験対象ユニット(UUT)の動的トルクや回転速度などの負荷情報に加え、空気伝搬音および構造伝搬音現象 |
| センサー | 加速度センサー、マイクロフォン、レーザー振動計、または顧客指定の機器 |
| 環境統合 | お客様の生産ラインにシームレスに統合可能 |
AVL AQCは、インテリジェントな自動化と高精度な計測技術を融合し、エンド・オブ・ライン(EOL)でのNVH試験を効率化します。試験プロセスは、PUMA™によって試験対象を所定の動作状態(回転速度、トルク、出力、温度など)に設定することから始まります。続いて、センサーの種類や試験条件に応じて、位置決めシステムがセンサーを正確に配置・調整します。取得された信号はIndiCom™で処理され、PUMA™によって検証されます。試験サイクルの最後には、試験対象ユニットが品質受け入れ基準を満たしているかどうかを示す詳細なレポートが作成され、「OK」または「NOK(不合格)」が明確に判定されます。この一連のシームレスなワークフローにより、安定性と信頼性の高い、完全自動化された音響品質管理が実現します。
高度なNVH解析が実現する高精度な検出
予期せぬ異音を捉える – 独自のインパルスノイズ機能により、クリック音やチック音など突発的なノイズを検出します。
隠れた異常の特定 – 従来のシステムでは見逃されがちな、希少で微細な音響異常を検出し、不具合の取りこぼしを防止します。
センサーから分析までのシームレスな統合
オールインワンソリューション – 信号の取得からデータの解析まで、AVL AQC はハードウェアとソフトウェアが完全に統合されたエコシステムを提供します。
スムーズな同期を実現 – 統合型プラットフォームだからこそ、運用はスムーズ、アップデートも簡単。品質管理への投資が、未来への安心につながります。
ニーズに応じて拡張可能な柔軟設計
カスタマイズ可能な試験 – センサーや評価手法を、お客様の生産要件に柔軟に適応可能。
拡張性に優れたアーキテクチャ – 試験ニーズの拡大に応じて、スムーズにスケールアップ。
スマートなデータ管理 – しきい値の自動設定とデータ処理により、効率的かつ柔軟な品質モニタリングを実現。
データが支える、信頼のトレーサビリティ
一貫した比較評価 – 標準化された手順により、テストユニットや各生産工程のベンチマーク結果を安定して比較可能。
迅速かつ洞察に満ちた評価 – 動的データベースにより、過去のデータやパターンへ即座にアクセス。継続的な改善を力強く支援します。
エンド・オブ・ライン(EOL)試験では、高度なNVH(騒音・振動・ハーシュネス)解析を用いて、お客様の受け入れに大きく影響する製造上の不具合を特定しています。音響品質管理のための私たちのAVLシステムは、EOL試験において標準的なNVH問題はもちろん、予期せぬ問題を検出するための不可欠なツールチェーンを提供します。”
– AVL Senior Application Engineer, Gerhard Zalar