CO₂削減
排出物はさまざまなガスや微粒子から構成されており、クリーンモビリティを追求する上でこれらすべてを考慮しなければなりません。CO₂、CH4、N2Oなどの温室効果ガスは気候変動に大きな影響を与えることが知られており、OEMはその削減のための厳しい法規制に直面しています。
法規制による要件を満たすためには、CO₂の排出量削減(理想的には排出回避)・測定を行う革新的な技術が必要です。この革新的技術には、電動パワートレインにおける電気エネルギーの流れを測定する装置も含まれます。運輸業界で使用されている大型商用車については、ディーゼルエンジンのCO₂排出量は世界各地で検証されています。検証は、シミュレーションされた条件下により、実車を公道で走らせて実施されています。これは、試験、測定、シミュレーションを行うにあたり、車両全体ならびにパワートレイン全体を考慮しなければならないからです。
例えば専用のハイブリッドエンジンなどは、CO2削減に大きく貢献しています。電動パワートレインにおける相乗効果を利用することで、理論混合気でのICEの効率を最大45%(乗用車セグメントのガソリンエンジン車のBTE)引き上げることができます。

汚染物質の排出
汚染物質の排出は、特に大都市においては、人々の健康の脅威となります。汚染源の密度と汚染源から生活圏までの距離によってはその脅威が増しており、世界的に解決しなければならない、地域の問題となっています。
こうした課題に対応するために、効率的な燃焼・後処理システムの開発が進んでいますが、その労力は絶えず増え続けています。その主な理由は、排出ガス規制による性能工場が求められるからです。したがって、開発作業の複雑さ、コスト、期間を削減しながら、システムの性能を向上させる新たな方法を見つけなければなりません。

AVLのアプローチ
各お客様の具体的なニーズに完璧に合うようソリューションを調整するには、できるだけ多くの変数を考慮した総合的なアプローチが必要です。AVLがお客様のお役に立てるのはまさにここです。AVLの包括的な製品ポートフォリオは、最新のエンジン、車両、パワートレインの開発工程におけるあらゆる要件に対応するソリューションを提供し、最適なソリューションの作成をサポートします。
世界各国は、汚染物質や温室効果ガスの排出量を削減することを目指しています。その結果、自動車業界はますます厳格化する規制に直面しています。しかも、要求事項は市場ごとに異なるため、OEMは堅牢性、信頼性、コスト効率、コンプライアンスを確保するソリューションを世界時中で見つけなければなりません。
AVLは世界中の排出ガス規制に対応するため、シミュレーション、エンジニアリング、試験のソリューションすべてを備えています。それぞれの市場に適した手法を提供し、OEMが掲げるCO₂関連の目標達成を支援します。

従来型ICEベースパワートレイン

内燃機関はこれから何年にもわたって、未来の推進システムにおける重要な役割を担っていくでしょう。各技術のバランスを適切に取った内燃機関は、温室効果ガス排出削減と汚染物質の超低排出を実現するソリューションの一つです。
AVLは燃焼システムから排出ガス後処理装置まで、ICEベースのパワートレインをかつてないほどクリーンなものにできます。ツールとプロセスから成るAVLポートフォリオでは、車両全体のあらゆるコンポーネントとシステムを検証し、効率性とパフォーマンスを高め、環境への影響を最小限に抑制するように最適化されていることを確認します。
包括的な燃焼・排出シミュレーション
AVLのシミュレーションソリューションは、車両への統合、ドライブサイクルのパフォーマンス、効率性、排出ガス予測にまで及ぶ、エンジン開発工程全体に対応しています。AVLは、コストと市場投入までの時間を削減しながら、複雑さとコンポーネントおよびシステムの継続的な最適化を管理するツールの開発に経験があります。
排出ガス測定向け高性能ターンキー製品
排出ガス規制の厳格化により、排出ガス試験システムの強化が求められています。AVLの高性能で正確な試験ソリューションは、いつでもどこでも必要なときに利用できます。ラボや公道でも使用できるように設計されています。
ハイブリッドパワートレイン

ハイブリッドパワートレインは、温室効果ガス排出量を大幅に削減する能力があります。ハイブリッドパワートレインにおける複雑さが増すことで、開発・試験にかかる労力と市場投入までの期間が大幅に増加します。
AVLは、システム統合のエキスパートです。最高のハイブリッドソリューションとは、単にICEと電気自動車を組み合わせたものではありません。むしろ、目標を達成するために最適な特性を組み合わせた、相互に補完するシステムで構成されています。
電動パワートレインの仮想開発
AVLのコンポートネントシミュレーションツールは、ICEにおける燃料供給、ガス交換、燃焼・排出を担う部分の開発・最適化を実現するだけでなく、電気自動車およびバッテリーの電磁気力、電気化学、電熱面における挙動にも対処します。システムシミュレーションツールは、燃焼エンジンと電気モーターの両方における制御ユニットの制御機能開発とキャリブレーションに役立ちます。
柔軟性の高いモジュール型テストベンチ
AVLは常にお客様のニーズを念頭に置いて製品・サービスを設計しています。AVLのモジュール型テストベンチソリューションはすべて柔軟性が高いため、あらゆるハイブリッドアーキテクチャに合わせてカスタマイズできます。そのため、燃焼機関と電動パワートレインの試験を同時に実施できます。
CO₂フリーICEまたはCO₂ニュートラルICE運用向け代替燃料

大気環境の改善という課題に対応するため、自動車業界はパワートレインの電動化を推進するとともに、従来型パワートレインの性能を改善し続けなければなりません。この流れに加えて、代替燃料は新しくクリーンなパワートレインのエネルギー源として大きな可能性を秘めています。
再生可能燃料は世界的なCO2削減に一定程度貢献します。燃料の多様化により、将来のパワートレインの開発、キャリブレーション、試験ならびに検証がさらに複雑なものになります。AVLには、OEMがこの次世代の代替燃料を最大限に活用するエンジンやシステムの構築するためのツール、工程、手法があります。
CO₂ニュートラルなICEエンジン向け合成燃料
合成燃料は、再生可能な電気を化学的に結合したエネルギーキャリアに変換することで生成した、内燃機関向けの気体・液体燃料です。合成燃料を使用することで、今日使用されている燃焼機関をCO₂ニュートラルなパワートレインに変換できます。
AVLとともに代替燃料に対応
AVLはお客様が開発する未来のパワートレインを代替燃料に対応させるため、一連の認証済み排出物測定を行う装置、ソフトウェア、キャリブレーションツールを提供しています。あらゆる作業にシミュレーションを導入することで、専門性を最高水準に高めます。これにより、燃焼システムの高精度な解析と最適化を実現します。
CO₂ニュートラルICE向け水素

水素を燃料として使用するには、多くの疑問に対する答えを探す必要があります。その疑問には、燃焼室内での水素と空気の混合方法、理想的なエンジン空燃比、パフォーマンスと排出量の目標達成に必要な充電コンセプトなどがあります。
AVLのエンジニアは研究に取り組み、最終的にAVL水素エンジンを開発しました。このエンジンは、CO2ニュートラルによる貨物輸送を実現するパワートレインであり、大型車運用での高いシステム効率、低純度燃料への高い耐性、ガスエンジンと同等の信頼性を確保しています。当初から設計上の意思決定にシミュレーションを活用しました。専用の水素エンジン試験システムを並行して開発しました。
AVLのグローバルインフラと世界各地の市場に存在する専門家によるネットワークは、最新の法的要件を把握することにとどまりません。トレンドを把握し、意見を形成し、将来の方向性を知ることができます。地域的にも世界的にもこうした活動を行っています。
