航続距離を伸ばして出力を上げ、充電時間を短縮した電気自動車を開発するには、量産に対応する革新的な技術が不可欠です。これはコンポーネントやシステムのレベルだけでなく、開発や生産にも影響します。電気推進ユニットを機能させる中心的な要素として、パワーエレクトロニクスは、何よりも高水準の効率性、最高の電力密度、さらに長い耐用年数という厳しい要件を満たす必要があります。この要件を費用対効果の高い方法で保証するには、専門知識と高度な柔軟性とモジュール方式が必要です。これらはすべて、システムとサブコンポーネントのレベル、開発プロセス自体、そして試験と検証を実施する際に必要です。

サイズ、重量、および電力密度
パワーエレクトロニクス部品の小型化に伴い、車両も軽量化されています。これにより、完成車だけでなく、eアクスルなどのサブシステムにコンポーネントを統合する際の自由度が高まります。複合ユニット(DC/DCコンバーターとOBCなど)に複数機能をさらに深い部分で統合するトレンドがあり、自由度の高さは特に重要です。
パフォーマンスと効率性
直流から交流への変換効率を高めれば、航続距離を伸ばせます。これにより、バッテリーコストを削減することもできます。
システムコストの低減
全体的なシステムコストを低く抑えるには、コンポーネントの選定とシステムアプローチが重要になります。

パワーエレクトロニクスとソフトウェアの開発は、様々な要因に大きく影響されます。機能安全性(ISO 26262)向けASIL (自動車安全水準)やサイバーセキュリティ(ISO21434など)、A-SPICE(Automotive SPICE)などの外部要件と、カスタマー特有の開発要件が存在します。AVLは、常にこれらを念頭に置いての開発プロセスを進めています。
そのため、プロセスと品質に重点を置いた独自のチームが存在します。私たちは、特にソフトウェア開発分野の規制に精通しており、A-SPICEレベル3の認証を受けています。エレクトロニクスとソフトウェアに関する専門知識と、安全性とセキュリティに関するナレッジにより、パワーエレクトロニクス開発のあらゆる関連分野でサポートを提供します。
AVLには、システムやコンポーネントに関する深い専門知識に加え、最先端の開発・手法や試験設備があります。これにより、量産に対応できるインバーターやDC/DCコンバーターなど、カスタマイズされたeモビリティソリューションを準備しています。
また、技術のパイオニアとしての付加価値をご提供します。AVLは、10年以上に渡ってモビリティ用途の800 Vシステムを開発してきました。また、SiC(シリコンカーバイド)などの新たな半導体にも早くから注目していました。私たちは、技術革新の開拓者として、現在の市場ポジションを確立しています。
開発のワンストップサービス
インバーターやDC/DCコンバーターのサブコンポーネント、ならびに対応ソフトウェアはすべて自社開発しています。半導体スイッチやモジュールの選定にあたっては、既存のサプライヤーと緊密に連携しており、共同開発プロジェクトにも参加しています。
EMC(電磁両立性)
革新的なEMCシミュレーションを使用して、パワーエレクトロニクスを最適化します。また、AVLはアクティブハイブリッドフィルターなどの技術を開発しています。このフィルターは、パッシブフィルターよりも省スペースで済み、より費用対効果の高い電磁ノイズ低減を実現します。
自社試験施設
社内試験インフラの開発により、AVLはコスト効率の高い方法で、あらゆるシステムとコンポーネントを迅速に試験・検証を実施します。
安全性とセキュリティ
機能の安全性とコンポーネントの信頼性、サイバー攻撃からの保護を確保します。
研究・開発
AVLは、半導体材料の応用と特性に関する包括的な研究を進めており、培った専門知識により、電力密度の向上やコスト削減、最適効率を実現する最適な制御戦略と電子ハードウェアアーキテクチャを開発します。
プラットフォームソリューション
プロトタイプとして正常に運用する複数のインバーターとDC/DCプラットフォームを確立しました。これらのプロトタイプに基づいて、より迅速かつ費用対効果の高い、カスタマイズされた開発を推進します。
柔軟性
開発サービスや技術ソリューションに関して従来の生産方式にとらわれない柔軟な対応を行います。
パワーエレクトロニクスにおけるプロトタイプからSOPまで
AVLは、長年に渡ってエレクトロニクスとソフトウェアの開発を手掛け、自動車産業における規格とプロセスに関して包括的な経験があります。これは、コンパクトで費用対効果が高く、高効率な製品を開発する上で最適な条件です。私たちは、開発の効率と速度を大幅に向上させると同時に、安全性とセキュリティの要件を満たすことができます。自社でプロトタイプ製作や少量生産に対応、量産についてもパートナーのプロセスと協力モデルを確立しています。また、お客様の量産に向けたサポートもご提供します。
EMCシミュレーションと最適化
AVL独自のシミュレーション手法により、開発のごく初期段階で問題を特定・解決できます。高価なハードウェアやコストのかかる試験は必要ありません。また、開発における複雑な反復作業を行うリスクが軽減されます。
ソフトウェア
専用に開発されたAVLのソフトウェアが、お客様のパワーエレクトロニクスの性能と効率を高めます。AVLは、基盤ソフトウェアやアプリケーションソフトウェアの開発を支援しています。
統合
AVLは、エレクトロニクスやeモーター、eアクスルまで開発を行い、複合システムを車両に組み込むための最善の方法を理解している専門家でもあります。私たちは統合に関する独自のナレッジがあり、お客様をサポートするための備えがあります。

AVLの仕事は、さまざまな国のお客様の多様な要件に柔軟に対応することです。AVLは、誰にとっても完璧なソリューションを提供することに邁進しています。
– AVL Software and Functions GmbH 専務取締役 Anton Angermeier
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