AVL RACETECH、IDEC SPORT Racingと提携 ─ 車両シミュレーションソフトの公式パートナーに就任
オーストリア・グラーツ、2025年7月 — AVL RACETECHは、フランスのLMP2クラスに参戦するIDEC SPORT Racingと長期的なパートナーシップを締結しました。
オーストリアの開発サービスプロバイダーAVLのモータースポーツ部門であるAVL RACETECHは、先進的な車両シミュレーションソリューション「AVL VSM™ RACE」を通じて、同チームの競技力向上を支援します。さらに、選定されたレースでは、現地でのレースエンジニアリングに関する専門的なサポートも提供される予定です。
AVLのモータースポーツ部門であるAVL RACETECHは、国際的なプロトタイプレースにおける存在感をさらに強めています。これまで長年にわたり、2023年および2025年のル・マン24時間レースLMP2クラスで優勝を果たしたInter Europol Competitionとの成功したパートナーシップを築いてきましたが、今回新たに、名門IDEC SPORT Racingへの技術支援を開始しました。
IDEC SPORT Racingは、Patrice Lafargue氏によって2015年に設立され、LMP2クラスを中心に高い実績を誇るチームです。2019年にはヨーロピアン・ル・マン・シリーズ（ELMS）でチャンピオンに輝き、2024年のル・マン24時間レースでは表彰台を獲得しました。2025年のELMSシーズンでは、バルセロナとル・カステレでの2勝を挙げており、現在、Daniel Juncadella氏、 Jamie Chadwick氏, Mathys Jaubert氏の3名を擁するチームは、チームおよびドライバーズランキングで2位につけています。
AVL RACETECHは、IDEC SPORT Racingに対し、レースおよびパフォーマンスエンジニアリングの専門知識に加え、車両運動シミュレーションのツールチェーン全体の開発と活用を支えるプログラミング技術を提供しています。
「このソフトウェアソリューションの中核を成すのが、AVLの完全動的車両シミュレーション『AVL VSM™ RACE』です」と、AVLのレースエンジニアリング部門のスキルチームリーダーであるMichael Peinsittは語ります。「このツールにより、レースカーを細部に至るまでモデル化し、セッティングの変更や気象条件の変化が、ラップタイム、ハンドリング、安定性、タイヤのエネルギー消費、燃費など、あらゆる要素にどのような影響を与えるかを予測することができます。」
こうした高精度なシミュレーション結果を可能にしているのが、最先端のドライバーモデルです。このモデルは、実際のレーシングドライバーと同様に、シミュレーション内で車両の限界性能を引き出すことができます。
このパートナーシップの重要な要素のひとつとして、AVL RACETECHは特定のレースイベントにおいて、IDEC SPORTにレースエンジニアを派遣しています。ル・マン24時間レースでは、チームの18号車が「Genesis Magma Racing」の名のもとで参戦し、すでにAVL RACETECHから現地での技術サポートを受けました。今後は、シルバーストンおよびポルティマオで開催されるレースでも、同様の現地サポートが提供される予定です。
IDEC SPORT Racing チーム代表：Nicolas MINASSIAN氏のコメント
「IDEC SPORT Racingは、AVL RACETECHをチームに迎え入れることができ、大変うれしく思っています。パフォーマンス向上を目指す私たちにとって、こうしたパートナーの存在は非常に心強いものです。
パフォーマンスには多くの側面があり、それぞれを最適化することが求められます。そして、競争の激しいこの選手権では、結果を出すために常に限界を押し広げていかなければなりません。私たちは現在、良いポジションにつけていますが、謙虚さを忘れず、厳格に、そして最高のパフォーマンスを発揮し続けることで、トップ5を維持し、選手権争いにおいて確実にポイントを積み重ねていく必要があります。
シーズン後半戦、そしてAVL RACETECHがマシンとチームの一員として加わってくれることに、チーム全員が大きな期待を寄せています。」
AVL モータースポーツ部門ディレクター：Ellen Lohrのコメント
「IDEC SPORT Racingとの協力は、私たちAVL RACETECHにとって非常に喜ばしいニュースです。これにより、LMP2クラスにおけるトップチーム2チームの公式パートナーとなることができました。
彼らの豊富な実戦経験と、私たちの高度な車両運動シミュレーションツールおよびエンジニアリングの専門知識を組み合わせることで、レースでの勝利や選手権制覇を実現できる強力なパートナーシップが築かれつつあります。
世界中のサーキットで、私たちのロゴが描かれたマシンが増えているのを見るのは非常に誇らしく、AVL RACETECHの精神と技術力が広く認められている証だと感じています。」
写真提供：IDEC SPORT / Paola DEPALMAS氏
約12,200人の従業員を擁するAVLは、自動車業界をはじめ、鉄道、船舶、エネルギーなどの分野における開発とシミュレーション、試験を行うモビリティテクノロジーのリーディングカンパニーです。独自の広範な研究活動に基づき、より環境に優しく、安全・安心で快適なモビリティ社会の実現に向けて、コンセプトやソリューション、方法論を提供しています。
AVLは、国際的なパートナーや顧客の持続可能なデジタル変革を支援しています。特に、電動化、ソフトウェア、AI（人工知能）、オートメーションの分野に重点を置いています。さらにAVLは、エネルギー集約型セクターが、より環境に優しく効率的なエネルギー生成・供給を実現できるように支援しています。
AVLでは、情熱がイノベーションを促進しています。世界各国に90か所以上の拠点と50か所のテクニカルセンター／エンジニアリングセンターを展開し、新しいモビリティ社会を実現するためにお客様をサポートしています。2024年は20.3億ユーロの売上高を達成、そのうち11%をイノベーションの加速に向けた研究開発活動に投資しています。
AVL RACETECHは、AVLのグローバルなモータースポーツ専門部門として、20年以上にわたりレースのあらゆる技術分野で活動してきました。現在では、世界17のレースシリーズにおいて、エンジニアリング、テスト、シミュレーション、製造の各分野でお客様と連携しています。F1、フォーミュラE、NASCAR、MotoGPといった世界最高峰のレースシリーズにおける主要サプライヤーとして、AVL RACETECHは最先端の技術とサービスをモータースポーツ界に提供しています。また、2024年からは国際自動車連盟（FIA）の公式車両シミュレーションソフトウェアサプライヤーも務めています。
IDEC SPORTのモータースポーツチームは、Patrice Lafargue氏によって2015年に設立され、今年で創設10周年を迎えます。同チームは、常に人とマシンの限界が試される耐久レースに挑み続けており、主にLMP2クラスで活躍してきました。2019年にはヨーロピアン・ル・マン・シリーズでチャンピオンに輝き、ル・マン24時間レースでは表彰台を獲得。さらに、2018年と2023年にはポールポジションも獲得しています。2025年のELMSシーズンでは、バルセロナとル・カステレでの開幕2戦を連勝するという好スタートを切りました。
最新のプレスリリースをお届けします。
AVLの事業内容をご案内します。