シミュレーションによる固体酸化物電解槽の開発と評価

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Ales Cvikl、チームリーダー(熱力学)

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気候変動の長期目標を達成するための世界的な取り組みと行動が、新たな電解槽システムの開発と工業化につながっていることは明らかです。発表された電解槽プロジェクトは毎年大幅な成長が見込まれており、中でも固体酸化物電解槽(SOEC)は最高の効率を提供するため、最も有望な技術の1つです。一方、SOECは他の技術と比較して未成熟であるため、AVLはSOECシステムの開発、統合、および最適化に注力しています。スタックは常にSOEC開発の中心にあり、BoP(バランスオブプラント)はスタック要件を満たし、目標となるシステム効率などの他の属性を達成するように設計されています。BoPによる固体酸化物セル(SOC)システムの最適な設計は、システムの複雑さと過渡負荷変化のタイムスケールにより非常に困難でコストのかかる作業です。AVLは、シミュレーションを開発工程の中心に置くことでプロトタイプの数とテストベンチにかける時間を削減し、システムを最適化できます。バーチャルツインは、スタックとシステム運用に関連するすべての制限を考慮しながら、システム効率とシステムコストの最適なトレードオフを実現するシステムアーキテクチャを定義するために、設計段階で使用されます。仮想環境では複数の連続タスクが実行されるため、開発プロセス全体で既存のシミュレーションモデルを再利用することが重要です。最初のコンセプトを検討した後、システム運用、そしてシステム制御機能の開発とキャリブレーションに焦点を移していきます。

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SOECシステムなどの複雑なシステムの開発は、比較的新しい技術であるだけでなく、高温での動作やスタックで許容される温度勾配が非常に限られる、などの側面があるため、困難を極めます。。この点が、多領域にまたがるシミュレーションソフトウェアであるAVL CRUISE™ Mを開発の中心に据える主な理由の1つになりました。このソフトウェアにより、スタックの詳細な電気化学的モデリングと、圧力降下、熱伝達、化学的および蒸気/液体平衡計算などのBoPシステムの熱力学的モデリングを実現し、すべて1D離散化で評価します。


SOCスタックおよびシステム検証の例

ソフトウェア開発では検証が重要です。ネイティブのCRUISE MスタックとBoPコンポーネントは、文献やAVLの社内プロジェクトから抽出された測定値に対して検証されました。以下の図は、(a)H2、H2O、CO、およびCO2の異なる燃料ガス混合物でのSOFC運用、または(b)可逆SOC(rSOC)運用遷移のいずれかに焦点を当てた検証済みスタックの例を示しています。分極曲線の結果は、測定とシミュレーションが高い水準で一致したことを示しています。セルおよびスタックの形状、経年劣化状態、ならびに実験が行われた運用条件における不確実性のために、わずかな偏差が生じました。

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次の図は、(a)BoPシステムに統合された妥当性検証済みSOFCスタックの例を示しています。このシステムはCH4を燃料としており、外部改質器とスタック内で処理します。排気燃料の一部はシステム効率を高めるために再循環され、他の一部は汚染物質を低減しシステムからの熱を再利用するために再燃焼装置で酸化されます。すべての重要な物理量が品質ゲート内で定義されているため、シミュレーションモデルがAVLで構築された実際のシステムの挙動を正確に再現していることは、結果から明らかです。シミュレーション結果(赤曲線)は、参照データ(黒曲線)に対して検証が行われ、(b)空気極圧、(c)排気温度、(d)改質器触媒吸気口温度、(e)燃料極圧、(f)空気質量流量、および(g)システム出力について示しています。

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合成ガス生産向け1D Co‐SOECシステムモデルを開発し、さまざまなシステム設計パラメーター内でスタックとシステム性能を解析しました。

モデルの説明

次の図に、Co-SOECシステムのアーキテクチャを示します。このシステムは、スチームカーボン比2.5、燃料利用率および再循環率は約75%の100 kWの電解槽システムです。スタックは770 °C~850 °Cの間で動作し、水素の発熱量が低いことを考慮すると、このシステムは約87.5%の効率を達成します。

空気電極の経路は、フィルターとコンプレッサー(1)から始まり、最初に熱交換器(2)を通して空気を送り込み、そこで所定の温度レベルまで加熱します。加熱された空気がスタック(3)に入り、そこで電解プロセスにより酸素が生成されます。スタックの排気口では、テールガスインジェクションおよび酸化触媒(4)の第1シーケンスが行われ、空気を加熱します。その後、空気は燃料熱交換器(5)を介して燃料極に送られます。テールガスインジェクションおよび酸化触媒の第2シーケンスは(6)に続き、空気熱交換器(7)から空気電極側を加熱するように設計されています。プロセス熱の一部は気流となり、その他は熱交換器(8)を介して蒸気およびCO2となります。最後に、空気がシステムを出る前に、スロットルバルブ(9)が背圧を調整して、空気と燃料電極との間の所定の圧力差を確保します。

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燃料電極経路は、対応する熱交換器で分離した蒸気(10)およびCO2(11)供給から始まった後、ガスが混合(12)し、合成ガス熱交換器(13)への経路をたどります。この経路は、正確な温度が制御される燃料熱交換器(14)内に続きます。混合蒸気およびCO2は、高圧でベンチュリインジェクター(15)に噴射され、ここで、相当量の合成ガスが再循環ループ内に引き戻され、スタック吸気口(16)に直接引き戻され、スタック排気口(17)における合成ガスの純度が高まります。合成ガスは、熱交換器(18)内でわずかに冷却され、システムに一部の熱を戻します。

システムアーキテクチャとコンポーネントの選択に加えて、システムを効率的に設計するには、適切な方法で制御する必要があるアクチュエータも複数あります。

このモデルにおけるシステム制御は次のとおりです。

  1. テールガスインジェクションの質量流量1:燃料電極を目標吸気口温度まで加熱します。
  2. テールガスインジェクションの質量流量2:空気電極を目標吸気口温度まで加熱します。
  3. 送風機速度:スタックの温度差を許容可能な温度範囲に制御し、空気電極のO2限界を低くします。
  4. スタックを流れる電流:システムの負荷を制御するために使用されます。
  5. 燃料排出ガス再循環バルブ:燃料の枯渇を防ぎながら、目標となる合成ガスの組成を実現するための適切な再循環率、それを達成するために使用されます。
  6. 背圧バルブ:両電極間の圧力差を調整します。
  7. 蒸気とCO2の質量流量:適切なスチームとカーボン比率を適切に調整し、システムを必要な稼働率(化学量論)に維持する必要があります。
     

熱力学モデルは、送風機、熱交換器、ベンチュリインジェクターおよびスタックコンポーネントのサプライヤーコンポーネントのデータシートに基づきパラメーター化されています。この制御系は、さまざまな環境条件および運用条件でシステムアーキテクチャ性能とその挙動を評価するために、基本動作用に開発されました。設計変更、システム最適化、システムコストと効率とのトレードオフの調査を実現します。このモデルは詳細な制御機能の開発とそのキャリブレーションにも使用できます。

Vプロセスにおけるシミュレーションモデルのユースケース

次の図は、通常のVプロセスにおけるCRUISE Mのシミュレーション機能を視覚化しています。その一部はSOECウェビナーおよびSOFCウェビナーで既に紹介されています。

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SOECウェビナー

SOFCウェビナー

次のセクションでは、ケーススタディの結果と考察を含め、熱力学モデルと制御系のユースケースについて説明します。

アーキテクチャのバリエーション

システムアーキテクチャは、所定のシステムの適用と効率の大部分を決定します。次の図(a)、(b)は、2つの異なるCo-SOECシステムアーキテクチャ間の比較を示しています。元のアーキテクチャは、前述のCo-SOECと同じであり、空気電極側に熱交換器を統合して拡張したものです(赤色の接続部で囲まれた箇所)。結果(c)は、追加の熱交換器を適切な場所に統合すると、排気温度とエンタルピー損失が低減され、システム効率が大幅に向上するため、非常に有益であることを示しています。これにより、システムの最高温度を下げ、合成ガス熱回収によりシステム改善を実現することで、さらなる利点をもたらすことができます。ただし、システムが大きくなるにつれて、圧力損失や熱損失が大きくなるなどの欠点が生じる可能性もあります。

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システム断熱材

システム運用中に発生する熱損失は、コンポートネントの断熱と密接に関連しています。例えばCo-SOECシステムでは、システム全体の効率に直接影響するため、テールガス燃料でその熱を補填しなければなりません。スタックを必要な温度許容範囲内に保持するためには、少なくとも薄い断熱層が必要です。ただし、次の図に示すように、システムコスト(断熱材の厚さに関連)とシステム効率は常にトレードオフの関係にあります。

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送風機の選択

コンポーネントの選択は、最も一般的なシステムシミュレーションタスクの1つです。高効率で高コストのコンポーネントを選択する場合、労力に見合うパフォーマンスが得られるかどうかを調査することが重要です。送風機の効率は、システムの効率に直接的および間接的な影響を及ぼします。効率が低下すると、排気口の温度は高くなります。これには2つの効果があります。第1にテールガスから必要とされる出力が減少すること、第2に熱交換器の低温側に入る高温によって高温ガスの効率的な回収を妨げられ、排気エンタルピー損失が高くなることです。次の図に示すように、送風機効率差が約10%あると、システム効率の差は0.1%となります。

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スチームカーボン比

通常のCo-SOECシステムにおけるスチームカーボン比は、他のプロセス(例:フィッシャートロプス法による目的燃料の合成)の要件を満たすために事前に定義されます。ガス組成の他に、スチームカーボン比もシステム性能にわずかな影響を及ぼします。下図で示す通り、一般に、セル電圧がわずかに異なると必要な電力の削減につながり、合成ガスの出力も同様に削減され、他の出力(送風機出力、熱損失、エンタルピー損失)を同様に維持しながらも、システム効率が異なる結果となります。

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燃料排出ガス再循環率

燃料排出ガス再循環率は、合成ガス組成に関するシステム要件を満たす上での対策になります。以下の図は、(b)再循環率が高いほど、生成される合成ガスの純度(H2およびCO濃度)が高くなり、スタック燃料の利用限界を満たしていることを示しています。再循環率には、他にもプラスの影響があります。例えば、(a)スタック全体の温度勾配が減少し、BoPの制御などに役立ちます。一方で、セル電圧が上昇し、電解のための電力需要が増加します。吸熱スタックのパフォーマンスオペレーションでは、同様の温度状態で必要とされるテールガスが少ないため、システム効率に影響を与えません。

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スタックの経年劣化

スタックが経年劣化すると、その性能が低下し、同じ運用に必要な電圧が増加します。それにより、スタック全体の温度プロファイルが変化します。スタックは吸熱性であり、スタック、他の熱源(テールガスインジェクション)どちらからからでも関係なく、追加の熱がシステム内で利用されるため、システム効率は必ずしも経年劣化とともに低下するわけではありません。経年劣化に対する主な設計タスクは、必要な温度許容範囲内(この解析では770°C~850°C)にスタックを維持するようにシステムを適切に制御することです。送風機の速度または電流を操作することで制御できます。

下図に示すように、さまざまな経年変化係数(線形スケールでの電圧増加としてモデル化された経年劣化)での電流および送風機速度の制御は、スタック全体の温度プロファイルに影響を与えます。経年劣化係数が小さい場合(最大6%)では、1回の制御変更で温度許容差を達成することが可能であるものの、経年劣化係数が大きい場合は、両方の対策を同時に適用する必要があるということがわかっています。

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この目的のために、ブロワー速度 (3000 rpm ~ 6000 rpm) と電流 (-80 A ~ -55 A) を 10% の経年変化係数 (新しいスタックと比較して 10% の電圧増加) で変化させて実験計画法 (DOE) を実行しました。両電極の吸気口と排気口のスタック温度を下図(a)、(b)、(c)、(d)に示します。黒い点は設計点を表し、温度カラーバーは、最高 850 °C を超える温度 (赤)​​、最低 770 °C を下回る温度 (青)、および許容範囲内の温度 (緑) を表すように定義されています。その結果、(d)燃料電極排気口温度は、最適運転点(6点)、および(e)送風機速度5000 rpm、電流-55 Aの運転点を最小限カバーするために最も重要な温度であり、最も高いシステム効率80%をもたらすことが確認できました。

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電流低減と送風機速度増加を組み合わせて、10%のスタック経年劣化係数で妥当な動作を達成することが可能です。ユーザーは、制御戦略を採用するためにDOEまたは最適化の恩恵を受けられます。

給気漏出

システム内の漏出は複数の動作要因により発生する可能性があり、加熱ガスの一部が失われるため、システム効率に影響を及ぼします。この損失は、テールガスインジェクションなどの別の動力源により補填される必要があります。理想的には、リークは制御ユニットによって何らかの方法で検出される必要があり、シミュレーションモデルを使用して、リーク検出のために診断を開発・較正することができます。リークにより質量流量が減少することは明らかであり、下図に示す2つの影響、排出ガス温度の上昇(質量流量が少ないほどテールガスの出力が大きくなる)、および吸気口ガスの温度低下(排出ガスから吸気口ガスに伝達される熱が少ないため)があります。この2つの温度の差は、システムでリークが発生していることを示す優れた指標となります。

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制御機能の開発

制御機能の開発と制御ユニットのキャリブレーションに仮想環境を利用することは、開発フェーズの初期段階での作業を加速し、コストのかかるテストベンチ運用を削減し、何よりも実際のシステムへの損傷を回避できる重要なステップとなります。当初、定常状態運用向け基本制御系が開発されました。ウォームアップを含む過渡システム制御の開発は、プロセスの長期的な性質により特に要求が厳しくなっています。複数のスタック制限を考慮する必要がありますが、その中で最も重要なのはスタック温度勾配制限であり、これにより最大10時間のウォームアップ時間が必要です。シミュレーションは、リアルタイムよりも高速で熱慣性が軽減されるため、非常に重要な役割を果たします。これにより、次の図に示すように、シミュレーションを 10 時間のプロセスから 20 分未満に短縮できる可能性が得られます。

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この1年、複雑なシステムモデリングを初めて学ぶエンジニアに提供し、専門家たちに非常に短期間で有益なものを提供したいという強い意欲が生まれました。AVLのSOECシステムは、スタック周りのあらゆるBOPコンポーネントを含むするモデルを自動的に作成するSOECジェネレーターにより構築できます。このシステムは、アクティブなセル面積とセル数に関する情報に従ってサイズが設定され、さまざまな断熱材と熱交換器効率を考慮したモデリングパラメーターの自動操作を提供します。また、すべての重要な主要業績評価指標(KPI)と熱力学量(質量流量、圧力、温度、組成)を備えた定義済みのシミュレーションダッシュボードを提供し、モデルを瞬時に評価できます。

動画ファイル

このシミュレーション手法と1D多分野システムシミュレーションソフトウェアCRUISE Mは、実際のユースケースの測定により開発、検証されています。固体酸化物スタックとガス経路は、リアルタイムに対応する、マルチドメインおよびマルチスケールモデリングによるアプローチを特徴としています。すべての熱力学的、化学的および電気化学的プロセスを考慮し、DoEおよび最適化機能とともに、包括的なシステムシミュレーションのための高性能な組み合わせを提供します。提示されたシミュレーション研究では、コンセプトの決定(システムアーキテクチャ、断熱、コンポーネントの選択)から始まり、運用戦略(燃料排出ガス再循環率、スタックの経年劣化、スチームカーボン比)に続き、制御機能の開発(リーク検出および過渡暖機用)まで、複数のユースケースを列挙して実証しました。特に後者のタスクでは、高価なテストベンチ運用をバーチャルツインに置き換えることで、大幅なコスト削減が最も期待できます。

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